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就業規則の作り方 その2「変更が必要な時」
変更が必要な時

就業規則とはいったん作成すれば完了というものではありません。さまざまな事情に合わせて内容を見直し、変更を行わなければならない場合が多くあります。
■就業規則の変更が必要な時とは
1.社内の制度や仕組みに変更があった時
業務時間の変更や新たな奨励制度の導入、賃金規定の見直し、会社に初めてパートタイマーなどを雇い入れたときなどにも、就業規則の変更が必要となります。なぜなら、一般的にパートタイマーの労働条件と正社員の労働条件は異なるからです。従って、新しい従業員を雇い入れたときには、「パートタイマー用の就業規則」「アルバイト用の就業規則」「契約社員用の就業規則」など、それぞれの労働条件に合った就業規則を作成しなければなりません。定年退職後の社員を再雇用する際は「嘱託社員用の就業規則」の作成が必要になります。新型コロナウイルスによりリモートワークの導入も増えており、新たなルールを取り入れる必要があります。スムーズな運用やトラブル防止のためにも労働者の意見を取り入れた内容にすることが大切です。
2.法改正が行われた時
法律は毎年のように改正されています。法律が変更や改正された場合就業規則もその内容に沿って変更しなければならないケースもあります。労務管理に関係する法律も例外ではなく、労働基準法をはじめ、労働契約法、育児介護休業法、男女雇用機会均等法、労働者派遣法、パートタイム・有期雇用労働法など、ここ数年に改正されたばかりの法律は少なくありません。
法改正に伴い、会社を支援するための助成金が新設されたり、改正されたりする可能性が高くなります。助成金を受給するための要件として、新制度などの適用要件を反映した就業規則に変更したり、労働者への周知を行ったりすることが必要になります。就業規則提出が申請条件の1つになることが多いので、法改正がされた場合、それを反映した就業規則に変更することは助成金申請にも有利になるというわけです。
また、法改正を反映させていなければ法的要件を満たさない規則となり、法違反となるリスクもあります。
主に2016年(平成28年)から2021年(令和3年)4月1日までに法改正された内容
・介護休業の分割取得ができるか。・介護を行う労働者に対して所定外労働(残業)・深夜労働の免除制度があるか。
・育児休業期間の延長について、子が1歳6カ月に達した時点が上限となっていないか。
・小学校入学までの子を養育する労働者が、育児目的で利用できる休暇制度があるか。
・子の看護休暇や介護休暇の規程がない/日単位の取得しかない/休暇取得できる労働者が限定されてしまっていないか。
・パートタイム・有期雇用労働者、障がい者の労働者がいる場合、相談窓口を設けているか。
・正社員と同一の労働条件(業務の内容、責任の程度、職務内容・配置転換の有無と範囲)で働く非正規社員がいる場合、待遇に差はないか。
・正社員と非正規社員がいる場合に、根拠の説明できない待遇差がないか。
・時間外労働・休日労働を行っているが就業規則に記載していない、もしくは法律上限(原則月45時間・年間360時間)を超えていないか。
・マイナンバー(個人番号)を預かって年末調整や雇用保険・社会保険手続きを行っている場合、就業規則にマイナンバーに関する記載や附則はあるか。
3.助成制度に対応する場合
助成金の中には受給条件に就業規則の作成や変更を含めているものや、助成金の申請時に就業規則の申請が必要なものがあります。また、就業規則があっても内容が労働局のひな形のままや最新の法令に適していなければ申請条件を満たさないこともあるので注意が必要です。
4.従業員にとって不利益となる項目を変更した時(不利益変更)
会社の業績の悪化で賃金や退職金、手当等の減額、労働時間の増減、休日数の減少など従業員にとって不利な内容を変更する事を不利益変更といいます。不利益変更をする際は従業員全員の個別の同意なく変更する事はできません。
「使用者は労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更する事はできない。」と労働契約法第9条に定められています。
従業員とのトラブルを防止するためにも内容や理由を十分に説明し、承諾を得てから同意書に署名・捺印をしてもらう必要があります。
他にも労使問題が生じたときや、会社の合併や分割、譲渡など経営状況に変化があった場合、労働基準監督署から是正勧告や指導を受けた際も変更が必要となります。
従業員は労働基準法により守られていますが、会社を経営する経営者にはそのような法律はありません。
会社の状況を反映した就業規則であれば労使トラブルを防ぎ、いざというときに会社を守ることができます。
そのためにも法改正や社内ルールの変更があったときなどには見直しが必要です。
離職率の抑制や優秀な人材の確保にも効果が期待でき、従業員が安心して働ける環境づくりにもつながります。
| 2022/11/28 |

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