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就業規則の作り方 その6「年次有給休暇」
年次有給休暇

年次有給休暇は一定期間継続して勤務した労働者に対して労働基準法に定められた労働者の権利となります。
次の条件を満たした労働者は年次有給休暇の取得が可能となり、最低10日の年次有給休暇を与えなくてはなりません。
・雇用した日から6か月継続勤務している
・全労働日の8割以上出勤している
また、正社員ではないパート社員や契約社員であっても所定出勤日数に応じた年次有給休暇は付与しなければなりません。また、社員の入社した日ごとに有休付与日が異なる方法と一定の時季に有休付与日を設けて全社員同じ日に有休を付与する方法があり、いずれの方法を採用するにしても労働基準法の規定された基準を下回ることはできません。
■フルタイム労働者の付与日数
労働者の所定労働時間と所定労働日数により次のように法定付与日数は定められています。| 勤続年数 | 6カ月 | 1年6カ月 | 2年6カ月 | 3年6カ月 | 4年6カ月 | 5年6カ月 | 6年6カ月以上 |
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
入社日によって付与日が異なる場合は入社日を基準とし、6か月勤務した日のタイミングで有給休暇が付与されます。
■パートタイマー労働者の付与日数
パートタイマー労働者など所定の労働日数の少ない労働者については労働日数に応じた日数の有給休暇が付与されます。6カ月継続勤務し、所定労働日の8割以上出勤した者には、週の所定労働日数および勤続年数に応じて次の年次有給休暇を付与します。
週所定労働時間が30時間未満で、週所定労働日数が4日以下または年間所定労働日数が216日以下の従業員に対しては、以下の表の通り勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を与えなくてはいけません。
| 週所定 労働日数 |
勤続年数 | ||||||
| 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 | |
| 4日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 2日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 1日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
※週30時間以上のパートタイムの場合はフルタイム労働者と同様になります。
パートタイマーと雇用契約を締結する際には、パートタイマー用の就業規則を明示して年次有給休暇の
仕組みについて説明しておきましょう。
■年次有給休暇に対する賃金
従業員が年次有給休暇を取得した場合の賃金の支払いは次のいずれかの方法により支払わなければなりません。1.平均賃金(原則:算定事由が発生した日以前3カ月間に支払われた賃金総額÷算定事由が発生した日以前3カ月間の総日数)
2.所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
3.標準報酬日額(労使協定が必要)をその日の所得労働時間数で割った額
1~3のいずれかにする場合、日単位による取得の場合と同様にし、就業規則に定めることが必要
■年次有給休暇の付与単位
年次有給休暇の付与単位は原則「1日単位」となります。年次有給休暇は時間単位で取得することも可能です。
労使協定を締結した場合には、年に5日を限度として時間単位で年次有給休暇を付与することが
できます。労使協定で定める事項は次の通りです。
(1)時間単位で年次有給休暇を取得できる対象労働者の範囲
(2)時間単位で与えることができる年次有給休暇の日数(5日以内に限る)
(3)時間単位で与えることができる年次有給休暇の1日の時間数
(4)1時間以外の時間を単位として年次有給休暇を与える場合はその時間数
■時間単位年休の労使協定例
第1条(対象者) 時間単位の年次有給休暇を取得できるすべての従業員を対象とする。第2条(日数の上限) 時間単位の年次有給休暇を取得できる日数は5日以内とする。
第3条(1日分の年次有給休暇に相当する時間単位の年次有給休暇) 年次有給休暇を時間単位で取得する場合は、1日
の年次有給休暇に相当する時間数を8時間とする
第4条(取得単位) 時間単位の年次有給休暇の取得は1時間単位とする。
1日分の年次有給休暇に相当する時間数の決定は、所定労働時間を基に行います。ただし、1時間に満たない端数がある場合は、時間単位に切り上げて計算することになります。
第○条(時間単位の年次有給休暇)
労使協定に基づき、前条の年次有給休暇の日数のうち、1年について5日を限度として時間単位の年次有給休暇(以下「時間単位年休」という)を付与する。この5日には、前年の時間単位年休に係る繰越し分を含める。
1.時間単位年休付与の対象者は、すべての社員とする。
2.時間単位年休を取得する場合の、1日の年次有給休暇に相当する時間数は次のとおりとする。
(1)所定労働時間が5時間を超え6時間以下の社員:6時間
(2)所定労働時間が6時間を超え7時間以下の社員:7時間
(3)所定労働時間が7時間を超え8時間以下の社員:8時間
3.時間単位年休は、1時間単位で付与する。
4.本条の時間単位年休に支払われる賃金額は、所定労働時間労働した場合 に支払われる通常の賃金の1時間当たりの額に、取得した時間単位年休の時間数を乗じた額とする。
5.上記以外の事項については、前条の年次有給休暇と同様とする。
2019年4月1日の労働基準法改正により、年次有給休暇が10日以上付与される労働者について、付与した日から1年以内に取得時季を指定して、年5日の年次有給休暇を取得させることが義務化されました。(年次有給休暇の時季指定義務)
◆年次有給休暇を取得した社員に対して、これを取得したことを理由に不利益な対応をすることはできません。
◆年次有給休暇の消滅時効は2年です。「その年に取得しなかった年次有給休暇はその年度末で消滅する」のような規定を設けることはできません。
| 2022/11/28 |

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